PVTとは?

2023/11/2

PVTとは?

樹脂流動解析では、充填からそり変形に至るまで、材料毎のPVT線図を使用し、結果を算出しています。今回は、解析結果に大きく影響するPVT線図を紹介します。

このような方におすすめ!

  • 樹脂流動解析の初心者の方
  • 樹脂データの内容について知りたい方

大きさの変化を考える(非晶性樹脂)

四角い樹脂の物体があったとします。この物体に熱を加えて温度が高くなると、どのように大きさが変化するでしょうか?

答えは簡単ですね。大きさは大きくなります。一般に、温度が上昇すると分子運動が大きくなり、分子間が離れることから固体でも大きさが大きくなります。それでは更に熱を加えて高温になり液体になった場合の大きさはどうなるでしょうか?

この答えも簡単ですね。大きさは更に大きくなります。固体から液体に変化すると、更に分子間の距離が大きくなり易くなります。そのため、液体の方が温度が上がると大きくなる比率が高くなります。


次に、今度は四角い樹脂の物体に周囲から圧力を加えてみましょう。大きさはどうなるでしょうか?


今度も答えは簡単ですね。大きさは小さくなります。 同じように、樹脂が溶けた液体の周囲に圧力を加えたらどうでしょうか?

答えは固体と同じです。大きさは小さくなります。このように、温度や圧力による変化は感覚的にも想像ができる変化です。


以上のような、大きさの変化をグラフに並べてみます。そうすると何かのグラフに似ていますね。そうです。PVT線図と同じになります。

PVT線図は縦軸に比容積(単位重量あたりの大きさ)、横軸に温度を取ります。更に、圧力毎のデータが加わります。実際のPVT線図のデータは、樹脂を高温にしてから、常温までゆっくり温度を下げたときのデータです。

大きさの変化を考える(結晶性樹脂)

先程示したPVT線図は非晶性樹脂のPVT線図です。では、結晶性樹脂についても考えてみましょう。


結晶性樹脂は、液体(固体)から固体(低温)に相変化するときに結晶化する部分がある材料です。結晶化は、分子がきちんと隙間なく並んで固化する状態になりますので、液体の時と比べると、大きさの変化が大きく、とても小さくなります。


結晶化の部分も含めて、この大きさの変化をグラフに並べてみましょう。そうすると、結晶性樹脂のPVT線図になります。


結晶性樹脂のPVT線図がこのような形になる理由がご理解いただけたでしょうか?

PVT線図

非晶性樹脂と結晶性樹脂のPVT線図の形の違いも、ご理解いただけたのではないでしょうか。

参考記事:結晶性樹脂と非晶性樹脂の違いとは?

https://3dtimon.com/case/tips/tips04.html

PVT線図のPは圧力(Pressure)、Vは比容積(Volume)、Tは温度(Temperture)を示します

温度と比容積の変化の関係は、射出成形において非常に重要です。成形機のスクリューが樹脂を押して流動していく過程でも樹脂は圧縮されながら流動していきますし、更に保圧工程では非常に高い圧力をかけて樹脂を圧縮し続けます。圧縮した時にどの程度比容積が変化していくのかをこのPVT線図から読み取れます。その後、樹脂は収縮していきますが、その収縮もPVT線図に従って比容積が変化することから収縮量を読み取れます。肉厚差による収縮差から変形を起こす状態も、このPVT線図から読み取ることができるのです。

貴社の樹脂成形の
課題解決をサポートします。

製品・サービスのご質問・お見積り・
デモなど、お気軽にお問い合わせください。

お問い合わせ