2022/10/6
プラスチック材料は、有する性質によって分類され、それぞれに適した用途があります。今回は、プラスチックの定義や特徴といった基本的な知識をふまえながら、どのような観点で分類されているのかをご紹介します。
このような方におすすめ!
プラスチックは、JIS規格によって「高分子物質を主原料として人工的に有用な形状に形づくられた個体である。但し繊維、塗料、接着剤は除く」ものと定義されています。
高分子物質とは、分子を構成している原子量の総和である分子量が10,000以上の化合物のことを指します。また、分子量が変化すると材料の性質も変化します。
射出成形、ブロー成型、押出成形、真空成形などが可能。
表面硬さ(鉛筆硬度)が、最大硬度のアクリルでB~2B程度。
光学レンズとして使用される非晶性樹脂は透明度が高く、成形によるひずみが少ない樹脂が使われます。代表的なものはPMMA、PC、COPなどです。
(PMMA:アクリル PC:ポリカーボネイト COP:シクロオレフィンポリマー )
自然環境保護の観点から、紫外線劣化が少ないPVCなどは問題視され、生分解性プラスチック※に注目が集まっている。
※生分解性プラスチック:自然界の微生物による分解性を持たせ,環境負荷を抑えたプラスチック。大きく分けると(1)微生物が生産するもの、(2)植物や動物などを原料としたもの、(3)化学合成したもの、(4)デンプンなどを混ぜて分解しやすくしたものに分けられる。ただし、(4)には細かくなるだけで完全には分解しないものもあり、これらは別に自然崩壊性プラスチックと呼ぶこともある。
樹脂材料はkg単位で価格が表されます。密度は樹脂別、グレード別や種々の処方によって違うため、同じ体積ではないので注意が必要です。
たとえば、密度1.2の1kgは833cm2に対し、密度1.05の1kgは952cm2で、体積比1.14倍となります。
もし同じ価格でも、密度1.05の方は、生産数量が14%増えることになります。
射出成形用の樹脂材料はいろいろな分類があります。以下にその代表的な分類を記します。
熱可塑性樹脂:温度上昇で流動可能になり、冷えると固まり、この挙動の繰返しが可能。
(例)ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ナイロン、PETなど
熱硬化性樹脂:化学反応などにより固化し、その後の再加熱では流動しない
(例)フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ユリア樹脂など
100%ではないが結晶化する結晶性樹脂と、100%結晶化しない非晶性樹脂に分けられます。
大きな違いは射出成形などでの成形収縮で、結晶性樹脂は結晶化による収縮が大きく10~30/1,000程度であるのに対して、非晶性樹脂は4~7/1,000程度と数倍の違いが見られます。
一般的に、結晶化によって高温に耐えられ、薬品にも侵され難い性質となっています。
左のPVTグラフ(温度、圧力と比容積の関係)は結晶性樹脂のもので、右は非晶性樹脂のものです。グラフの形(比容積の変化)が違うのは結晶化の有無で、非晶性樹脂の方が比容積変化が小さいことがわかります。
※比容積、温度の値は同一レンジ
こちらの分類は連続使用温度の違いによるものですが、材料単価も比例して高くなります。
ガラス繊維(GF)や炭素繊維(CF)などを配合することで、連続使用温度が上がり、強度・剛性全般も高くなります。ただし、GFは棒状の繊維のため、繊維の向き(配向)により下記の図のような収縮の異方性が発現します。繊維配向は樹脂の流動の影響が大きく、樹脂流動解析による検討が有効です。また、GFの量により密度は大きくなります。流動の末端でGFの量がやや多くなるという報告もあります。
強化材料以外では、収縮率を抑えるためにタルク※を配合したり、材料に配合して増量させるために炭酸カルシウムを配合したりすることもあります。 単価としては、CF>GF>タルク>炭カルですが、汎用材PPではタルクの方が高価となります。
※タルク:フィラーの一種。樹脂と混ぜ合わせることで剛性・耐熱性・寸法安定性を高める。
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