結晶性樹脂と非晶性樹脂の違いとは?

2022/11/1

結晶性樹脂と非晶性樹脂の違いとは?

プラスチックは、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂の2種類に分けられます。このうち加熱して柔らかくすると何度でも形状を変えられる熱可塑性樹脂は、結晶性樹脂と非晶性樹脂に分類され、それぞれ性質が異なります。今回は、結晶性樹脂と非晶性樹脂にはどのような違いがあるのかをご紹介します。

このような方におすすめ!

  • 樹脂流動解析の初心者の皆様
  • プラスチックの種類や分類に関心がある方

結晶性樹脂の種類と特徴

結晶性樹脂とは、加熱・溶融した樹脂の温度が低下し固化したとき、分子が規則的に並んだ結晶部分を持つものを指します。耐薬品性に優れ、ガラス移転点と融点の2つの温度特性があるのが特徴です。

代表的な結晶性樹脂としては、ポリアミドがあります。一般的にはナイロンという商品名で呼ばれており、PA6やPA66をはじめPA9T、PA12、PA46などの種類もあります。

その他の結晶性樹脂としては、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、POM(ポリアセタール)などがあります。このうちPBTとPPSは、ガラス繊維を配合させて構造部品などに使用されることが多く、耐熱性が高いことからエンジニアリングプラスチック(エンプラ)と呼ばれます。

エンプラに比べてやや耐熱性が低い汎用樹脂では、PP(ポリプロピレン)とPE(ポリエチレン)が多く使われています。PPは車の内外装部品やコンテナ類、PEはHDPE、LDPE、LLDPEなどに分類され、農業用フィルムやレジ袋等で大量に消費されています。なお、PEはPPよりも対候性が高いため、寒冷地仕様のコンテナやパレット等でPPの代替樹脂として使われています。北海道向けでは、PPからPEに変更することで耐衝撃に対する危惧を回避しています。ちなみに、PPからPEへの材料変更での金型は同じものを使うことができます。

結晶化樹脂は、その材料の結晶化帯域温度に長い時間とどまると、結晶化が進みやすくなります。下図は、冷却速度が結晶化の進行に影響していることを示しています。射出成形での冷却の進行は1000℃/minを大きく超えるような条件もあり、冷却速度によって収縮量が変化します。一般的に、結晶性樹脂は非晶性樹脂に比べて使用される雰囲気温度が高く、溶剤・薬品に耐えるものが多くあります。これは結晶化していることに起因しています。ただし、成形収縮率は1~3%と大きいものがほとんどで、これも結晶化の影響といえます。

結晶化開始温度の冷却速度依存(PP,PA,PBTなどの結晶化樹脂)

非晶性樹脂の種類と特徴

熱可塑性樹脂を加熱・溶融状態から一定の温度まで下げると、分子どうしが不規則に絡み合ったまま固化するものを「非晶性樹脂」と言います。非晶性樹脂は、透明性や塗装・接着性が高く成型収縮率が小さいなどの性質を持っています。

代表的な非晶性樹脂として挙げられるのが、5大汎用樹脂のひとつであるPS(ポリスチレン)です。PSには、耐衝撃性に優れたABS (アクリルニトリルブタジエンスチレン)の代替材料として開発されたHIPS(ハイインパクトPS)と、冷蔵庫の棚板に使われるなど透明性の高いGPPS(汎用PS)があります。

5大汎用樹脂で紫外線劣化の少ないPVC(ポリ塩化ビニル)も、非晶性樹脂の一種です。PVCは透明なフィルムや軟質処方材料として、さらに車の内装、電線や電源プラグなどにも使われていますが、最近は紫外線劣化しづらいことが原因で敬遠されることも多くなっています。

他にも、非晶性樹脂の特徴である透明性の高さから、光学用の透明な材料として活用されているのが、PMMA(アクリル)やPC(ポリカーボネイト)です。特に、PCは耐衝撃性に非常に優れ、ノッチなしでのシャルピー衝撃試験では折れません。また、車の前照灯レンズはPMMAからPCに移行され、PMMAでは肉厚のものがPCでは約半分くらいになり、大幅な軽量化が実現されています。

また、マウスに使われるABSや、パソコンのDVDトレーに使われるm-PPE(変性ポリフェニレンエーテル)などの材料も多く使われている非晶性樹脂です。非晶性樹脂は、基本的に溶剤があり塗装や印刷などに向いていることと、成形収縮率が小さいこと(約0.3~0.7%)から寸法精度の必要な成形品に多く使われています。

樹脂に配合される材料

プラスチック材料の剛性や耐熱性を向上させるためには、強化材を配合します。強化材は、ガラス繊維(GF)、炭素繊維(CF)などがあります。

強化材の配合は、通常は重量配合率で表記されるため、樹脂および強化材の密度が分からなければ体積(%)が分かりません。一般的なガラス繊維の密度が2.5程度であるのに対し、炭素繊維は1.9程度と軽量です。例えば、PA6にGF30%の重量コンテントの場合、GFの密度の約半分がPA6の密度なので、体積コンテントは15%前後となります。また、価格については、ガラス繊維に比べて、炭素繊維の方がかなり高価になります。

また、PP(ポリプロピレン)などに配合されるタルクはほとんど石のようなもので、ガラス繊維などと比べると、配向は非常に小さいものとなります。タルクの体積分は線膨張程度しか変化しないので、樹脂の体積が少ない分、収縮を抑えることができ、寸法精度を向上させるため配合しています。タルクの密度は2.5程度です。車のバンパーやインスツルメントパネルはタルク入りの材料が多いようです。

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