樹脂流動解析で必要な樹脂データ

2022/12/1

樹脂流動解析で必要な樹脂データ

樹脂流動解析を最大限に活用するには、正確な樹脂データの入力が大切です。3D TIMON®の樹脂データベースには、東レグループの開発素材だけではなく、国内外の樹脂メーカーのさまざまなグレードの樹脂素材が多数登録されています。今回は、樹脂流動解析に必要な樹脂データのうち解析特有のデータについてご紹介します。

このような方におすすめ!

  • 樹脂流動解析の初心者の方
  • 樹脂流動解析で取り扱うデータに関心のある方

樹脂流動解析で必要なデータ

樹脂流動解析に必要な樹脂データは以下の通りです。このうち、樹脂流動解析でよく使われるデータは溶融粘度とPVT特性です。今回はこの2つのデータについて説明します。

1.溶融粘度
2.PVT特性
3.No-Flow温度と固化温度
4.溶融時と固体時の熱伝導率、比熱、密度
5.常温時のポアソン比、線膨張係数、ヤング率
6.ガラス繊維(GF)入り樹脂ではGF密度、線膨張係数、ポアソン比、ヤング率、アスペクト比、配合率
7.その他、解析内容による追加データ

溶融粘度とは

樹脂の溶融粘度は、主に温度やせん断速度によって変化する値です。温度が高く、せん断速度が速いと粘度の値は小さくなります。また、同じ材料グレードでも材料のロットが変わり、分子量分布が変化すると粘度が少し変化することがあります。樹脂にリサイクル材を混ぜると成形しやすくなりますが、それは少なくとも1回熱履歴を多く受けて、主鎖が切れたため平均分子量分布が下がり、粘度が低くなったことが考えられます。下図は、縦軸を粘度、横軸をせん断速度とし、樹脂温度を4種類測定した両対数グラフです。温度が下がると粘度が上昇することは食用油でも同じですが、非ニュートン流体の溶融樹脂では、せん断速度でも粘度が変化することを理解しておくと良いでしょう。

PVT特性とは

PVT特性は、樹脂の比容積変化について温度や圧力との関係を表したもので、結晶性の樹脂は変曲点で比容積変化が大きくなります。下図は、縦軸に比容積、横軸に温度、複数のグラフ線は圧力別を表しています。このグラフから圧力によって比容積が変化することがわかります。これは成形機のシリンダー内でも、金型内でも起きている現象です。下図を見ると、非晶性樹脂は結晶化しないため比容積グラフに変曲点が無く、結晶性樹脂と比べて成形収縮率が小さいことがわかります

結晶性樹脂

非晶性樹脂

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