2023/2/17
インラインスクリュータイプの成形機内の樹脂の挙動について説明します。
このような方におすすめ!
目次
インラインスクリュータイプの成形機内の樹脂の挙動について説明します。
現在、最も一般的なインラインスクリュータイプの成形機の動きを見てみましょう。
工程内での樹脂の状態を見ると、樹脂は加熱され、背圧を受けながら計量、混練されています。
この時、スクリューの回転によりせん断を受けながら射出する樹脂がスクリューの前に溜められます。
その後、ある射出速度でシリンダー内から金型内に溶融樹脂が入れられます。樹脂が射出成形機から出ていく際にノズルを通過しますが、ノズル穴は通常シリンダー径と比べ非常に細いもので、例えばスクリュー径がΦ20でノズル先端径Φ3とすると断面積で40倍以上差があります。
この径の違いもあり、スクリューが数mm前進しても、その瞬間はノズルからは樹脂は出ません。
この状態で樹脂は成形機内で図らずも圧縮を受けることになります。
圧縮された樹脂は粘度も微妙に高くなり、また、断熱圧縮により温度も上昇しています。
ノズル穴からパージされる樹脂を見ると、ノズル穴より太い樹脂が射出されていることが見られますが、
これは樹脂が大気圧下に放出されるまで、シリンダー内で圧縮されている証拠です。
但し、実際の樹脂はシリンダー内よりも流動抵抗のある金型内を流れるため、圧縮状態はエアパージ
工程のように解放されません。従って温度上昇は見込んでおくべきということになります。
スクリュー前進時の樹脂の圧縮による射出の遅れは充填時間で考えると短くなっているように見えます。大きな成形品でPP材などでは1.5秒の射出時間で0.4秒近く樹脂が出ていないものも見られます。
ところが小型の製品では充填時からバックフロー(*)が発生し、10cc射出している条件でも4cc程度しか樹脂が金型内に入らず、この状態では金型内の樹脂の速度は遅くなっていることになります。
つまり、成形機をコントロールするために成形条件の設定をしますが、これは、成形機の動きを制御しているだけで、実際の樹脂の動きではないということになるようです。
*バックフロー:通常、保圧時に多く出る現象で、成形品内に無理に樹脂を押し込もうとすると
チェックリング(逆流防止弁)を樹脂が乗り越えて後ろに戻ってしまう現象です。
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