2020/11/4
射出成形で生じる樹脂の色ムラ。そもそもなぜ色ムラが起こり、どのように対策すればよいのか。導入事例も交えて紹介します。
このような方におすすめ!
成形品の着色剤には、「マスターバッチ」や「ドライカラー」、「リキッドカラー」、着色料がすでにペレットに付与されている「着色ペレット」「着色コンパウンド」など、さまざまな種類があります。現在国内では、ベースとなる無色のペレット(樹脂素材)に練り込むことで色や機能を持たせることができるマスターバッチの人気が高く、粉末状のドライカラーや液体状のリキッドカラーと比べて混合が容易で取り扱いやすいため、広く使用されています。
コストが低く抑えられることもメリットの一つで、着色コンパウンドからマスターバッチへの切り替えを検討されている方も増えています。しかし、マスターバッチを使用して着色成形品を作る場合、表面の色が均一ではなく、変色や筋状の模様が目視で確認できることがあります。これを「色ムラ」と呼びます。
そもそも、色ムラは何が原因で起こるのでしょうか?
色ムラが起きた射出成形品
成形の過程で起きる色ムラのほとんどは、混錬不足が原因です。マスターバッチとベースとなる無色のペレットを加熱・融解して濃度を均一にする際、色の濃いマスターバッチの顔料が十分に混ざり切らずに分散不良を起こし、色ムラとなって残ってしまうのです。これを解消するには、マスターバッチとベースとなるペレットが均一になるまで十分に混錬することが対策になります。
そのために用いられるのが「ミキシングスクリュー」や、「ミキシングノズル」といった機器です。ミキシングスクリューとは、射出成形機の加熱筒内部に取り付けるスクリューで、混錬効果を向上させることができますが、取り付けには射出成形機を改造する必要があります。
一方、ミキシングノズルは、同じように混錬効果を向上させる機能を持ちますが、射出成形機の標準ノズル(オープンノズル)と付け替えるだけですむため、改造の必要がありません。
当社のミキシングノズルは、並列した円筒通路管の内部に180°捻った羽根(ねじり羽根)を配置し、さらにこの通路からの流体を合流させる中間室を設け、これを1エレメントとし、さらにこのエレメントを交互に90°ずらして直列に配列する構造です。
動力を使わずに強烈な攪拌作用を生み出し、約32,000※回もの混錬によって射出成型品の色ムラを徹底的に解消します。また、ねじり羽根だけの他方式ノズルと比較し、より短い長さのノズルで十分な混合が可能となります。
※ エレメントの場合。計算値。
東レミキシングノズルの内部イメージを動画で見る
この動画は実際のサイズとは異なります。イメージしやすいようにデフォルメされてます。
エレメントに2種類の高粘度流体を流すと、2つの円筒通路管で4等分され、ねじり羽根の作用により、それぞれの円筒内で流体は内側と外側が置換されて中間室で合流します。流体は90度ずれた次のエレメントでさらに4分割され、2エレメント通過時には16層に分割されます。7エレメントの場合、これを7回繰り返すため、理論上、2色×4×4×4×4×4×4×4=約32,000回もの混錬がなされる計算です。
混錬のイメージを動画で見る
色ムラだけでなく温度ムラも解消することができるので成形不良を防ぐ効果があります。
つや消しや対候性などを実現するために使用される添加剤も確実に分散します。
ランナー・バリなど、成形時に出た破片などの再利用品を混錬する際にも、それらをまんべんなく行きわたらせ、均一性を確保します。
現在使用中の射出成形機の標準ノズルを取り換えるだけで使用できるので、射出成形機の改造が必要なミキシングスクリューをご採用されるよりも、比較的簡単・低コストで導入できます。
シンプルな内部構造で樹脂が押し出されることによるセルフクリーニング効果があるため、導入後のメンテナンスも不要です。
機器内部での樹脂・着色剤の品種替えが簡単で置換時間が短く、材料損失を低減させます。
約11Shotで色替えが完了
マスターバッチの色ムラ不安を解消できるため、着色コンパウンドからマスターバッチへの置き換えが可能になり、コスト削減につながります。
化粧品容器の部品を成形されるお客様の事例です。当社のミキシングノズルを導入いただき、お悩みであった色ムラが解消されました。当社ミキシングノズルを装着した以外、特別な操作はされていません。
既存ノズルの寸法を「仕様確認シート」に記入いただければ、寸法どおりのミキシングノズルを作製・納品いたします。あとは既存ノズルと交換するだけで導入が完了します。導入をご検討の方、製品についてさらに詳しく知りたい方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
「東レミキシングノズル」についてさらに詳しく知りたい方は、
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