「3D TIMON®」で実用的な解を導き
短期間でも高難度な要求に対応。
業務効率化とコスト削減を実現しました。

出光興産株式会社 樋渡 哲也様

2023/3/2

樋渡 哲也様

出光興産様の先進マテリアルカンパニー 機能化学品部 機能材料研究所では、顧客である各産業の製品メーカーと一体となって、エンプラ、粘接着基材・液状ゴム、機能性コート材等の高機能材の研究開発・用途開発を行っています。今回は、同研究所における3D TIMON®の活用状況について、エンプラ技術グループCAEチームの樋渡様にお話を伺いました。

エンプラの研究開発で直面していた課題は?

私たちエンプラ技術グループCAEチームの使命は、お客様の製品上市をサポートすることでスムーズな材料納入につなげることです。当社のエンプラは、自動車、工業製品、家電日用品等のさまざまな分野で販売されており、いずれの製品も寸法や力学特性、各種性能などの厳しい要求仕様を満たす必要があります。そのため、材料の高機能化や高性能化に加えて、製品を形づくるうえでの最適な設計や性能予測、成形加工時の不具合予防などにおけるソリューションを展開しています。

なかでも、当社独自の樹脂素材である「ザレック™」は、耐熱性、耐スチーム性、耐薬品性、電気特性に特長を持ち、堅牢でありながら軽量、かつ加工性・コストのバランスに優れた先進素材です。近年、自動車や家電のトップメーカー様を中心に、ザレック™への材料切り替えが着実に進んでいます。それにともない、製品メーカー様からザレック™の製品設計支援・成形加工シミュレーションに関するリクエストを数多くいただくようになりました。こうした高難度な要求に対し、私たちエンプラ技術グループでは、「限られた人員・時間の中でお客様に満足いただけるアウトプットを出し続けなければならない」という量的・質的な課題を抱えていました。

3D TIMON®導入の決め手は?

当社で特に頻度が高いCAEはエンプラやSPSの射出成形・構造シミュレーションであり、仕様を満たす設計や加工条件等をケーススタディとして検討することに多くの時間を使っています。こうした研究開発は、時間をかけて検討すれば必ず成功が得られるというものではありません。材料×設計×加工条件×試験条件等の組み合わせは膨大になることが多く、またそれらを懸命に検討しても解にたどり着ける保証がないという課題を抱えていました。

この課題を解決できるのが、3D TIMON®の導入でした。3D TIMON®は、データサイエンスモジュールAMDESSとシームレスに接続することで、膨大なケーススタディであっても大局的、または局所解に陥らないように解を探索し、実用的な解を示唆してくれます。このような人間をアシストする機能が備わっている3D TIMON®とオプションモジュールを導入することは、さまざまな製品開発に関わり、各方面から高難度な要求を短納期で求められる私たちのような材料メーカーにとって自然なことでした。

3D TIMON®の使用感は?

日頃使う立場から見て、3D TIMON®が優れていると感じる点は次の4つです。

1.高精度で実用性が高い

射出流動・繊維配向・反りシミュレーション等どれも高精度で実用性が高く、現場の生産課題に対して高いパフォーマンスを発揮します。例えば、自動車向けのコネクタなど高い寸法精度が求められる分野においても、材料知見との組み合わせにより確度の高い設計提案や金型設計提案が可能となります。

2.理論体系が明確

シミュレーションで扱う各現象の支配方程式で材料特性がどのように使用されるか、分かりやすく解説してくれます。

3.拡張性

二色、オーバーモールド、圧縮成形などの各成形加工や、透明材の光学特性との連携、固体粘弾性の考慮によるクラック、クリープ、サーマルショックでの応力予測、データサイエンスモジュールによる設計最適化など、拡張機能が豊富です。

4.メッシュ作成機能

解析用に製品CADを有限要素でモデリングする際、解析精度を高めるためにメッシュサイズや肉厚方向の層数などを自動でリコメンドしてくれます。また、外部メッシャーで作成したメッシュもインポート可能で、自由度が高く重宝しています。

オプションモジュール「StructVE®」導入のねらいと成果は?

3D TIMON®のオプションモジュール「StructVE®」を導入すると、ポリマーの固体粘弾性を考慮することで、サーマルショック時の応力状態の経時変化や粘性歪によるクラック懸念箇所の予測などが可能になります。当社は製品の組み立て状態をモデリングしておいて、3D TIMON®のバーチャル上で環境負荷試験(数値実験)を実施し、設計変更の妥当性確認や設計要素のスクリーニングを行っています。これは金型修正における工数や期間、コストを大幅に改善します。当社では、CAEによる製品開発において本オプションモジュールが最も重要なツールであり、設計現場になくてはならないものとなりました。

樹脂測定を東レエンジニアリングDソリューションズに依頼するメリットは?

樹脂において厄介だと感じるのは、同じ材料物性を測定しても、測定法や測定条件等が変われば値も変わるため比較し難いことです。このような課題に対して、解析物性に関しては3D TIMON®用の材料測定法に統一して、樹脂測定の業務を東レエンジニアリングDソリューションズに依頼しています。種々の物性取得が網羅されており、他の解析ソルバーでも十分に使用できるデータ群が取得できるため重宝しています。

今後、3D TIMON®や東レエンジニアリングDソリューションズに期待することは?

豊富な解説資料はもちろん、不明な点はサポート部門から丁寧に解答いただけるため、いつも大変助かっています。また、解析精度や機能拡張への細かなリクエストを出しても、エンジニアの方が真摯な姿勢かつ迅速に対応してくださるので、日本メーカーならではの高い信頼性と安心感があります。以前、「StructVE®」で膨大な計算を行う必要があった際、エンジニアの方が至急対応くださり、新しい計算スキームによって解析時間を大幅に改善していただきました。今後もこのスピード感や、技術力の高さを維持いただけることが最も期待することです。

また、3D TIMON®は材料特性をCAEへ精度良く反映できる分、材料に関する知見が十分に必要なことも事実です。材料メーカーでなければ理解しづらいところが多くあり、3D TIMON®の真価が発揮されるにはこの課題に対するフォローが必須だと感じています。既に実施されているセミナー等を通して、ポリマー知見に関する浸透を図っていただければ、日本における製品開発力のさらなる底上げになると感じています。

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  • トヨタ自動車(株)様の活用事例です。3D TIMON®CompositePRESSの活用。CF-SMC成形における繊維配向を考慮した振動特性予測技術を確立しました。

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  • ブラザー工業(株)様の活用事例です。外観不良である“転写ムラ”と”フローマーク“を予測。発生メカニズの分析と個別開発により直接的な予測技術を確立しました。

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  • AMDESS for 3D TIMON®はそり変形の低減やウェルド位置をコントロールするために製品肉厚やゲート位置を最適化するモジュールです。紹介資料をダウロードいただけます。

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